バイクのタイヤ空気圧、点検頻度は月1回?2週間に1回?適正値の調べ方と正しい入れ方

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バイクのタイヤの空気圧、最後に測ったのはいつだろうか。結論から書く。入れる値は「その車体の指定空気圧」一択、測るのはタイヤが冷えているとき、頻度は少なくとも1か月に1回。二輪用タイヤのメーカーには、2週間おきを勧めているところもある。

この記事では、①自分のバイクの指定空気圧がどこに書いてあるか ②点検の頻度 ③実際の測り方・入れ方 ④空気圧のついでに見ておきたい残り溝の基準、の4つを、メーカー公式ページと法令の原文で確かめながら整理した。特に④は、四輪と二輪で数字が違ううえ、二輪のなかでも126cc以上と125cc以下で扱いが違う。取り違えると、別の乗り物の基準で自分のバイクを見ることになる。

目次

自分のバイクの「指定空気圧」はどこに書いてあるか

まず大前提。適正な空気圧は「バイクなら何kPa」と一律に決まっているものではない。ミシュランは二輪車用タイヤの空気圧について、車両メーカーが指定した空気圧を守るようはっきり書いている(モーターサイクル用タイヤ 空気圧の目安|日本ミシュランタイヤ)。タイヤ側ではなく、車体側に合わせる、ということだ。

どれくらい違うのかは、同じシリーズの車種を並べてみるとよく分かる。ホンダが公式Q&Aで公開している数値では、スーパーカブ50(型式2BH-AA09・2022年式)が前輪200kPa/後輪225kPa、スーパーカブ50プロ(型式2BH-AA07)は前輪175kPa/後輪225kPaとなっている(Honda公式Q&A「タイヤの空気圧を教えて」)。同じ”カブ”でも前輪の指定値が違う。前後で違う数値が指定されているのも普通だ。

だから最初にやることは、空気を入れることではなく自分の車体の指定値を調べること。取扱説明書を見るのが確実で、ホンダのようにメーカーの公式サイトで車種別に公開している場合もある。中古で買って説明書が手元にない、という人は、まずそこから当たってほしい。

点検の頻度は「月1回」か「2週間に1回」か

ここは出どころによって言っていることが少し違うので、両方そのまま書いておく。

  • ホンダ(車両メーカー)……タイヤの空気圧は日常点検の項目であり、少なくとも1か月に一度はタイヤゲージを使って点検するように、と案内している。
  • ミシュラン(タイヤメーカー)……二輪車用タイヤについて、2週間おきの点検を推奨している。
  • JAF……タイヤに問題がなくても内部の空気は自然に抜けていくため、少なくとも1カ月に1回は点検を、としている(JAF クルマ何でも質問箱「タイヤの空気圧点検と充塡方法」)。

つまり下限が月1回、ミシュラン(二輪タイヤメーカー)はもう少し短い間隔を勧めている、という関係になる。迷ったら短いほうに寄せておけばいい。バイクは四輪と違ってタイヤが2本しかなく、しかも車体を支えながら傾けて曲がる乗り物だ。1本あたりの受け持ちが大きいぶん、こまめに見る価値はある。

ほかの整備と一緒に習慣にしてしまうのが現実的だと思う。どの作業をどのくらいの間隔でやるかはバイクメンテナンス、初心者はどのくらいの頻度でやるべき?点検項目・費用を完全ガイドにまとめてあるので、あわせて読んでみてほしい。

空気圧が足りない/高すぎると、何が起きるのか

「少しくらい減っていても走れるでしょ」と思うかもしれないが、減っている状態で起きることは、燃費よりも先に挙動と寿命に出る。なお下の表のうちJAFの記述は四輪向けの解説だが、空気圧と摩耗の関係そのものは二輪にも当てはまる。

状態 起きること
低すぎる 走行安定性が損なわれ、転がり抵抗が増えて燃費も悪くなる。パンクの危険性も高まる(JAF)。早期摩耗を招き、元に戻らない損傷につながることもある。ショルダー部(タイヤの肩)の摩耗が進む(ミシュラン)。
高すぎる 直進安定性が悪くなり、偏摩耗の原因になる(JAF)。トレッドの中央部の摩耗が進みやすい(ミシュラン)。

ミシュランは、空気圧が不足したまま走るとタイヤがホイールから外れる可能性が高まるとまで書いている(モーターサイクル用タイヤ 空気圧の目安|日本ミシュランタイヤ)。空気圧は「燃費の話」ではなく「転ぶか転ばないかの話」に片足を突っ込んでいる、と考えたほうがいい。

逆に言うと、摩耗のしかたを見れば空気圧の管理がうまくいっているかが分かる。真ん中だけ平らに減っていれば入れすぎ、両肩ばかり減っていれば足りていない。次のタイヤ交換のときに、外したタイヤをひっくり返して見てみると面白い。

測り方・入れ方 ── 肝は「冷えているうちに」

手順そのものは難しくない。ただし条件が1つだけある。タイヤが冷えていることだ。

ミシュランは点検を冷間時に行うものとし、その目安として、走ったあとなら少なくとも2時間はあけること、どうしても動かす場合は低速で3km以内にとどめること、温まった状態では調整しないことを挙げている(ミシュランの二輪向け空気圧ガイド)。JAFも、高速道路を長距離走ったあとなどタイヤが温まっているときは空気圧が高めに表示される場合がある、と注意している。走ってから測ると、本当は足りていないのに足りているように見えてしまう、ということだ。

  1. 朝いちばん、走り出す前に測る。ガソリンスタンドまで走ってから測るなら、上の「低速で3km以内」を意識する。
  2. 必ずエアゲージで測る。JAFは、見ただけでは減り具合を正しく言い当てられないとして、ゲージでの測定を必須としている。見た目で分かるほど減っていたら、それはもう相当まずい状態だ。
  3. バルブキャップを外し、なくさないところに置く。
  4. エアチャックをバルブにまっすぐ押し当てる。JAFは、押し当てる角度に注意し、正しく当たっていないと空気が抜けてしまうと指摘している。バイクはホイールまわりに手が入りにくい車体もあるので、まっすぐ当たっているかを目で確かめてから押し込むとよい。
  5. 指定値に合わせる。前後で数値が違う場合があるので、前後それぞれ確認する。
  6. 最後にバルブの状態を見て、キャップを必ず戻す。ミシュランは点検後にバルブ・バルブステムの状態を確認し、必ずキャップを取り付けるよう案内している。

エアゲージを持っていない場合は、セルフ式の給油所にも充塡機が備えてあり、頼めば見てもらえる場合がある、とJAFは案内している(対応は店舗によって異なる)。ツーリング先でも確認できるよう、小さなペン型ゲージを1本積んでおくと安心だ。荷物の組み立て方はツーリング初心者の持ち物リスト完全ガイド!日帰り・宿泊・季節別に徹底解説で整理している。

空気圧を見たら残り溝も見る ── 0.8mmが効くのは126cc以上。原付には溝の数値が無い

ここが、この記事でいちばん伝えたいところだ。

タイヤの溝の深さの決まりが置かれているのは、保安基準の細目を定める告示の第89条だ。原文を読むと、滑り止めの溝はどの部分でも1.6mm以上の深さが必要としたうえで、二輪自動車と側車付二輪自動車については0.8mmと、かっこ書きで別の数値が添えられている(国土交通省 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第89条(走行装置))。

ただし、ここに落とし穴がある。この告示の主語は、はじめから終わりまで「自動車」だ。そして道路運送車両法は、自動車と原動機付自転車を別の区分として定めている。法第2条は「自動車」を原動機付自転車以外のものと定義し(e-Gov法令検索|道路運送車両法)、施行規則第1条は、二輪のものについて総排気量0.125リットル以下を原動機付自転車としている(e-Gov法令検索|道路運送車両法施行規則)。

したがって、0.8mmが効くのは126cc以上の二輪自動車(軽二輪・小型二輪)だ。125cc以下の原付一種・原付二種には、タイヤの溝の深さを定めた数値の基準が法令に無い。道路運送車両の保安基準には原動機付自転車のための節が別に置かれているが、タイヤに関係する条は第60条(接地部及び接地圧)だけだ。その第60条が「告示で定める基準」として委ねている細目告示 第241条まで降りても、並んでいるのは接地部が道路を破損しないことと、接地圧の上限の話ばかりだ(空気入りゴムタイヤなら、接地部の幅1cmあたり200kg)。溝の深さの数値は、そこにも出てこない

ネット上でよく見かける「スリップサインが出たら1.6mm」は四輪の数字で、JAFの解説も四輪を対象に書かれている。そして「バイクは0.8mm」も、正確には126cc以上の話だ。自分の排気量がどちら側なのかを確かめずに数字だけ拾うと、別の乗り物の基準で自分のタイヤを見ることになる。

では原付は減っていてもいいのか、というと、そうではない。法令に数値が無いだけで、減ったタイヤが滑りやすいことは排気量で変わらない。タイヤ側の作りも共通で、ミシュランによれば、二輪用タイヤには例外なく、摩耗の限界を知らせる突起(トレッドウェアインジケータ)が0.8mmの高さで設けられている。そのうえで同社は、0.8mmまで減りきる前に新品へ替えることを勧めている。法律で問われる線と、安心して走れる状態は別だ。原付でも、この突起が見えてきたら替えどきだと考えておけばいい。

もうひとつ、同じ第89条には「空気入ゴムタイヤの空気圧が適正であること」も並んでいる(これも126cc以上の話だ)。空気圧は、気分の問題でも燃費の工夫でもなく、保安基準に書かれている項目なのだ。車検のあるバイクに乗っているなら、費用の内訳とあわせて【2026年最新】バイクの車検費用はいくら?相場の内訳とユーザー車検で安く抑えるコツを徹底解説も見ておくといい。

まとめ

  • 入れる値は車両メーカーの指定空気圧。車種ごとに違い、前後でも違うことがある。
  • 測るのはタイヤが冷えているとき。ミシュランの目安は走行後2時間、走るなら低速で3km以内。
  • 頻度は少なくとも月1回。ミシュランは二輪タイヤについて2週間おきを勧めている。
  • 目視では分からない。エアゲージで測る。
  • 残り溝の0.8mmは126cc以上の基準。125cc以下には法令の数値が無い。四輪の1.6mmとも混同しない。排気量にかかわらず、摩耗の突起が見えたら替える。

作業そのものは数分で終わる。走り出す前のその数分が、次のコーナーでの安心につながる。次の休みの朝、いちばん最初にやってみてほしい。

参考にした情報源

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