事故の相手に払ってもらえる修理代。車両保険をいくらで掛けるか。売るときや乗り換えるときの値段。どれも、物差しになるのは愛車の「今の値段」だ。
ただし「今の値段」には2つある。同じバイクを買い直すときの値段と、自分が売るときの値段だ。保険や事故の話で使われるのは前者、買取の査定で分かるのは後者で、同じ金額にはならない。この記事では、どの場面でどちらの物差しを使うのかを分けて書く。
ところが、自分のバイクがいま市場でいくらなのか、ぱっと答えられるだろうか。新車で買った値段やローンの残りは覚えていても、今の値段は調べないと分からない。
今の値段が効いてくる場面を5つ、日本損害保険協会や法令の記載から拾う。そのあとで、売るときの値段を知る方法を手間の順に並べる。売るかどうかは、値段を知ってから決めればいい。
申し込む前に、下の「申し込む前に確かめたい4点」を公式サイトで確かめてください。
今の値段が物差しになる5つの場面

①と②は「買い直す側の値段」(時価額・市場販売価格相当額)、③〜⑤は「売る側の値段」(買取の査定額)が物差しになる。
① 事故の相手に修理代を請求するとき
日本損害保険協会の損害保険Q&A「問43」は、車の修理代を加害者に請求する場面について、損害賠償の上限は事故が起きた時点の車の時価額だ、と説明している。修理代が時価額以下なら全額を請求できるが、時価額を上回った場合は全額にはならない。
同じQ&Aには数字の例も載っている。時価額が100万円の車で、修理に150万円かかったとき、請求できる上限は時価額の100万円。残りの50万円は法的な「損害」として評価されない、という例だ。なお、時価額と修理費の差を一定額まで補う特約(対物差額修理費用補償特約など)を扱う保険会社もあり、相手の保険にそれが付いていれば差額の分を受け取れる可能性がある、とも書かれている。ただし自分にも過失がある場合は、その割合を掛けた額が相手から支払われる、という注意も添えられている。
ここからは筆者の読み方です。このQ&Aは車(くるま)の例で説明しているので、バイクで同じように扱われるかは、自分が入っている保険会社に確かめるのが確実だ。そのうえで、「時価額が上限」という考え方を知っていると、提示された金額が妥当かを考えるときの足場になる。なお、ここでいう時価額は、買取店が付ける「売る値段」とは別のものだ。買取の査定額を、そのまま時価額として持ち出すことはできない。
② 車両保険の金額を決める・見直すとき
日本損害保険協会の損害保険Q&A「問16」によると、自家用の普通乗用車や小型乗用車などでは、車両保険の保険金額を「市場販売価格相当額」にする。これは、同じ車種・同じ年式で、同じくらい使い込まれた車を買うときの価格のことだ、と説明されている。同じQ&Aは、約款は保険会社によって異なるので保険会社か代理店に問い合わせるように、とも書いている。
ここからは筆者の読み方です。上の説明は乗用車の場合のもので、バイクの車両保険がどう決まるかは保険会社ごとに確かめる必要がある。それでも、「同じ車種・年式・状態のものを買い直す値段」という考え方は、自分の保険金額が離れていないかを見る物差しになる。これは「買う側」の値段で、売るときの査定額とは別だ。バイクの任意保険の組み方はバイクの任意保険はいくら?相場を統計と保険料例で確認にまとめてある。
③ 売る・乗り換えるとき(ここからは売る側の値段)
乗り換えでは、次のバイクを買う店で下取りに出す方法と、別の業者に買い取ってもらう方法がある。どちらが高いかは、車種や状態、時期によって変わる。だから大事なのは、どちらか一方の金額だけを見て決めないことだ。
売るときの値段の目安を先に持っていれば、下取りの提示額を聞いたときに「比べる相手」がある。比べる相手がいなければ、提示された額が高いのか低いのか判断のしようがない。動かないバイクや、手放すか廃車にするかで迷っている場合は、バイクの廃車手続き完全ガイドも参考になる。
④ ローンが残っているとき
地方税法の第444条は、軽自動車等の売買で売主がその所有権を手元に残している場合について定めている。そのときは、軽自動車税の上では買主のほうを所有者とみなして課税する。
ここからは筆者の読み方です。ローンで買ったバイクでは、売主(販売店など)が所有権を残す形の契約がある。その場合、税金は自分に来ていても、書類の上の所有者は別の人、ということが起こりうる。売る前に、車検証などの所有者の欄を一度見ておきたい。
売却サービスの側でも、ローンが残っていても売ること自体はできる、ただし所有者を変えるなどの手続きが要る、と案内しているところがある(例:CTNバイク一括査定のよくある質問)。
ここからは筆者の読み方です。ローンが残っているなら、「売るときの値段」と「ローンの残り」を並べて見ておくと判断しやすい。値段のほうが上なら、売って完済する道が見える。下なら、差額をどうするかを先に考えることになる。どちらにしても、売るときの値段を知らないと計算が始まらない。
⑤ 手放す時期を決めるとき(軽自動車税)
地方税法の第442条は、軽自動車税の対象になる「軽自動車等」を、原動機付自転車・軽自動車・小型特殊自動車・二輪の小型自動車と定めている。同じ法律の第443条は、この税を主たる定置場のある市町村が所有者に課すと定め、第449条は賦課期日を4月1日としている。
ここからは筆者の読み方です。原付も、250cc以下の軽二輪も、それより大きい二輪も、この「軽自動車等」に入る。手放すことを決めているなら、4月1日をまたぐかどうかは気にしておきたい。春先に「売るかどうか」を迷っているなら、売るときの値段を早めに知っておくと、決めるまでの時間を確保できる。自治体ごとの手続きは、住んでいる市区町村の案内で確かめてほしい。
今の値段を知る方法は3つ。手間で比べる

今の値段を知る方法は、大きく分けて次の3つだ。どれが正解ということはない。かけられる手間と、比べたい数で選べばいい。
| 方法 | 家に人が来るか | 比べられる数 | 手間の中身 |
|---|---|---|---|
| 店に持ち込んで査定 | 来ない(自分が行く) | 回った店の数だけ | 店まで乗っていく・その場で説明する |
| 1社に出張査定を頼む | 来る | 1社 | 日程を合わせて立ち会う |
| 写真で複数社に見てもらう | 写真を送る段階では来ない(引き取りや実車の確認で来ることはある) | 複数社 | スマホで写真を撮って送る |
表は、それぞれの方法の仕組みから筆者がまとめたもの。出張査定の料金や対応する地域は業者ごとに違うので、申し込む前に各社の公式ページで確かめてほしい。
どの方法でも、分かるのは「売る側の値段」だ。①②で出てくる時価額(買い直す側の値段)とは別物として扱ってほしい。
「売るかどうかはまだ決めていない。でも売るときの値段は知りたい」という段階なら、店まで行ったり日程を合わせたりしなくて済む3つ目の、写真で見てもらう方法が手軽だ。
写真で売るときの値段を知るなら「KATIX(カチエックス)」

写真で見てもらう方法のひとつが、KATIX(カチエックス、旧アップス)だ。公式サイトの記載から、事実だけを拾っておく。
- 査定は無料。KATIXの公式トップページ(車・バイク共通)に「無料査定」と書かれている。
- オファーは最大21社から。同じトップページに、そう書かれている。車とバイク共通のページの表示なので、バイクだけの数かどうかは書かれていない。
- 引き取りから最短2日で入金。同じトップページの表示。ただし注記があり、引き取りが終わってから3営業日以内に支払いに必要な情報が共有され、口座番号などを入力したあと最短で当日に入金、一部対象外の業者もある、とされている。
- やることは写真を撮って送ること。バイク査定サイトの「KATIXの想い」によると、買い手との交渉は、コンシェルジュ役の担当者が行う。
申し込む前に確かめたい4点
どの査定サービスでも、申し込む前に次の4つは公式サイトの「よくあるご質問」などで確かめておくと安心だ。
- 利用料はかかるか。KATIXのバイク査定サイトには「利用料について」というページがある。ただし画面をスクリプトで組み立てるページで、この記事では中身を確かめられていない。申し込む前に、そのページで確かめてほしい。
- 売ると決めたあとで取りやめたら、どうなるか。査定を見るだけなら費用がかからないサービスでも、売却を決めたあとの取りやめには条件が付くことがある。
- 引き取りのときに金額が変わることはあるか。写真と実物が違ったときの扱いを確かめておく。
- 名前や電話番号が、どこに・いつ渡るか。業者から直接連絡が来るのか、窓口が間に入るのかで、申し込んだあとの手間が変わる。

まとめ:売る前に、まず値段を知っておく
- 「今の値段」には、買い直す側の値段(時価額など)と、売る側の値段(査定額)の2つがある。
- 事故の相手に請求できる修理代は、事故時の時価額が上限になる(日本損害保険協会Q&Aの車の例。バイクは保険会社に確かめる)。
- 乗用車の車両保険は「同じ車種・年式・状態のものを買う値段」を保険金額にする。バイクは保険会社に確かめる。
- 下取りの提示額は、売る側の値段の目安がないと比べられない。
- ローンが残っているなら、売る側の値段とローンの残りを並べて考える。
- 軽自動車税の賦課期日は4月1日。手放す時期を決める材料になる。
どちらの値段も、先に知っていれば選べる手が増える。売るかどうかは、そのあとで決めればいい。
参考にした情報源
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険 問43」
損害賠償の上限が事故時の時価額であること、時価額100万円・修理費150万円の例、差額を補う特約を扱う会社があることは、このページによります。 - 日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険 問16」
乗用車の車両保険の保険金額を市場販売価格相当額とすること、その意味、約款は会社により異なることは、このページによります。 - e-Gov法令検索「地方税法」
軽自動車等の範囲(第442条)、所有者に課すこと(第443条)、所有権留保の売買で買主を所有者とみなすこと(第444条)、賦課期日(第449条)は、この法令によります。 - CTNバイク一括査定(公式)
ローンが残っていても手続きをすれば売却できる、という案内の例として参照しました。 - KATIX(カチエックス)公式トップページ
無料査定、最大21社からのオファー、最短2日での入金とその注記は、このページによります。 - KATIX バイク査定「KATIXの想い」
写真を送る仕組みと、担当者が買い手との交渉を行うことは、このページによります。



