ツーリング先で動かなくなったとき、バイクをどこまで運んでもらえるか。駐輪場から愛車が消えたとき、何がいくら戻ってくるか。どちらも、困ってから契約書を読み返すことになりやすいテーマだ。
バイクのロードサービスには、大きく分けて「任意保険(バイク保険)に付いてくるもの」「JAFのように人が会員になるもの」「ZuttoRide Clubのように登録した1台に付けるもの」がある。この記事では、この3つを搬送距離・搬送先・費用・盗難への備えで並べて、自分の使い方に何が足りていないかを確かめるための材料を出す。どれか1つを選べという話ではない。
料金や条件は、2026年9月25日に各社の公式ページで確かめた内容だ。料金・補償は改定されることがあるので、申し込む前には公式ページで最新の内容を見てほしい。
先に結論:3つの備えを1枚の表で
| 任意保険のロードサービス(例) | JAF | ZuttoRide Club | |
|---|---|---|---|
| 何に付くか | 契約したバイク | 会員本人(車両登録なし) | 登録した車両1台 |
| 無料で運べる距離 | 保険会社と搬送先で変わる(下の3社の例を参照) | 20kmまで。超えた分は1kmごとに830円 | プランで50km・100km・無制限など。超えた分は1kmあたり550円(税込・2023年3月版パンフレット) |
| 運ぶ先 | 保険会社が指定・承認した工場か、自分で指定した工場かで条件が変わる | — | 原則、加入バイクショップか自宅 |
| 費用 | 保険料に含まれる(自動セットの会社がある) | 入会金2,000円+年会費4,000円 | ロードサービスのみで年5,990円〜(1年プラン) |
| 盗難への備え | 車両保険・盗難補償があるかは商品しだい | ロードサービスの会員制度で、盗難を補償する保険ではない | 盗難保険プラン・フルサポートプランがある |
表の中身は、次の節からそれぞれの公式ページで出典つきで確かめていく。任意保険の欄は会社ごとに違うので、ここでは東京海上日動・アクサ損害保険・三井ダイレクト損保の3社の公式ページを例にした。
任意保険のロードサービスは「どこへ運ぶか」で距離が変わる
バイク保険にロードサービスが付いていても、「何km無料か」は1つの数字で決まらない。3社の公式ページを読むと、運ぶ先を保険会社側が決めるか、自分で決めるかで条件が分かれている。
東京海上日動:1回の事故等につき15万円まで
東京海上日動のバイク保険のロードサービスのページでは、事故・故障・盗難等で走れなくなったときの修理工場等までのレッカー費用と、応急対応の費用を、合計で15万円を限度に支払うとしている。この限度額には、搬送先の修理工場等を東京海上日動が事前に承認した場合は無制限とする、という注記が付いている。
同じページには、道路上で燃料が切れたときにガソリンか軽油を10リットル届けるサービス(保険期間中に1回)も載っている。また、JAF会員がJAFを使った場合の上乗せ(部品代・消耗品代を保険期間中1回・4,000円まで負担など)も書かれている。キーの紛失で走れなくなった場合は、保険金を支払わない主な場合に挙がっている。
アクサ損害保険:自分で工場を指定すると二輪は100kmまで
アクサ損害保険のレッカーサービスの注意事項によると、事故や故障で自力で走れなくなったとき、運ぶ先が最寄りの修理工場(ロードサービスセンターが指定するもの)なら、距離の制限なく無料だ。一方、利用者が修理工場を指定した場合の無料の限度は150kmで、二輪・原付については100kmだ。自分で指定した工場への100kmを超えたレッカーけん引料金は、同ページの「サービス対象外の代表例」に挙がっている。
三井ダイレクト損保:希望の工場まで100km(実走距離)
三井ダイレクト損保のバイク保険のロードサービスのページでは、ロードサービスはすべての契約に自動でセットされ、レッカーの限度は、希望する修理工場まで実走距離で100kmとしている。対象はその契約のバイクで、ほかのバイクは対象にならないという注記もある。ロードサービスだけを使った場合は、ノンフリート等級は下がらないとも書かれている。
ここからは筆者の読み方だ。「ロードサービス付き」という言葉だけで安心せず、自分の保険証券やしおりで①無料の距離か金額の上限 ②その距離が、保険会社の指定工場まで行くときの話か、自分が決めた店まで行くときの話かの2点を確かめておくと、出先で慌てずに済む。行きつけのバイク屋が自宅の近くにあって、ツーリング先が遠いほど、この差が効いてくる。任意保険そのものの選び方はバイクの任意保険はいくら?相場と選び方にまとめてある。
JAF:バイクではなく「人」が会員になる
JAFのバイクのロードサービスのページによると、JAFのロードサービスはクルマだけでなく、大型二輪・普通二輪・小型二輪・原付の救援や搬送にも対応している。サービスは会員本人にかかるので車両の登録はいらず、複数台を持っていても、レンタルバイクを運転しているときでも使えると案内している。
無料で受けられる範囲の例として、同ページはバッテリー上がり、パンク、メットインへのキー閉じ込み、燃料切れ、事故や故障のけん引・搬送を挙げ、利用回数に制限はないとしている。ただし、JAFのよくある質問によると会員の無料けん引距離は20kmだ。JAFのロードサービスの料金を調べるページでは、20kmを超えた分は1kmごとに830円(税込)となっている。バッテリーやガソリンなどの部品・油脂・燃料の代金は実費だと、バイクのページに書かれている。
会員でない場合の料金例は、上のバイクのページに載っている。夜間・一般道での故障車のけん引・搬送は27,700円〜(けん引料は別)、昼間・一般道でのバッテリー上がりの応急始動は21,700円だ(どちらも税込)。
費用は、JAFの入会のページで個人会員が入会金2,000円・年会費4,000円(初年度の合計6,000円)となっている。
ここからは筆者の読み方だ。JAFの強みは「人に付く」ことで、2台持ちやレンタルバイクでのツーリングと相性がいい。一方で無料けん引は20kmまでなので、遠出の先で壊れて自宅近くの店まで運びたい、という場面では距離の上乗せを別に考えることになる。上の東京海上日動の例のように、任意保険の側にJAF会員向けの上乗せがある会社もある。
ZuttoRide Club:登録した1台に付けるロードサービスと盗難保険
ZuttoRide Club(ずっとライドクラブ)は、ZuttoRide株式会社が運営する、バイク向けのロードサービスと盗難保険の会員サービスだ。プランは「ロードサービスプラン」「盗難保険プラン」、両方を合わせた「フルサポートプラン」に分かれている。
ロードサービスプランの年会費と距離
ZuttoRide Clubのロードサービスプランのページに載っている5つのプランは次のとおり(いずれも1年間・税込。2026年9月25日確認)。
| プラン | 年会費 | 無料搬送距離 | ページに書かれているその他 |
|---|---|---|---|
| ロード50 | 5,990円 | 50km | なし |
| ロード100 | 7,990円 | 100km | なし |
| ロード無制限 | 9,990円 | 無制限 | パンク修理補償 |
| プレミアムロード シルバー | 6,990円 | 30km | 傷害保険(死亡保険金300万円・入院日額1,500円) |
| プレミアムロード ゴールド | 19,900円 | 無制限 | 傷害保険(入院日額5,000円・死亡保険金1,000万円)、パンク修理補償、ピックアップサービス |
同じページによると、サポートの中身は24時間・365日の受付、自走できないときのレッカー(原則、加入バイクショップか自宅まで)、現場での応急修理(30分以内は無料で、部品代と30分を超える作業は有料)、カギの閉じ込み、ガス欠時のガソリン配達(ガソリン代は有料)、バッテリー上がりのジャンピング(充電・交換は対象外)の6つだ。ピックアップサービスは年1回で、事故でレッカーを使った場合に限られ、故障のレッカーは対象外と注記されている。
プレミアムロードサービスのページには、ロードサービスが有効なのは契約時に登録した車両1台だけであること、車体番号が職権打刻の車両は加入できないことが書かれている。付いてくる傷害保険については、任意保険の人身傷害や搭乗者傷害とは別の補償であること、入院の補償は実際にかかった額ではなく日額の定額払いであることが注記されている。同じページは、賠償保険や車両保険には別に入るよう勧めている。
公式パンフレット(2023年3月版のPDF)には、ウェブのページに無い条件が載っている。まず、プランの規定距離を超えて運んだ分は、実際に走った距離で数えて1kmあたり550円(税込)の自己負担になる。次に、引き上げの場所が自宅か、自宅から1km以内のときは予約扱いの作業になり、案内が翌日以降になることがある。そして、加入できない車両が決まっている。
- 大きさ・重さ:車検証上の車両重量が500kgを超える/最低地上高が90mm未満/ホイールベース(軸長)が1,900mmを超える
- カスタム車両:全長が2,700mmを超えるもの(純正車は除く)
- 種類:競技用車両、サイドカー付き、事業用の緑ナンバー、登録書類上ミニカー扱いの車両、バギー、電動キックスクーターなど
加入のときに対象の車両でも、改造などで条件を満たさないと同社が判断すれば、サービスを受けられない場合があるとも書かれている。大型のツアラーやロングホイールベースのカスタムに乗っているなら、先に車検証の数字と照らしておきたい。パンフレットは2023年3月版なので、年会費はこの記事ではウェブのページの表を使った。
盗難保険プラン:上限は300万円、自己負担は5%
盗難保険プランのページによると、補償は3つに分かれている。
- バイク盗難保険:最大300万円まで(購入金額を証明する書類がある車両なら、新車でも中古車でも対象)
- パーツ盗難保険:マフラーやサスペンションなど、パーツだけが盗まれた場合に最大20万円まで
- カギ穴いたずら補償:盗難未遂やいたずらでカギ穴を壊されたときに最大5万円まで
盗難保険の引受保険会社は三井住友海上火災保険株式会社と書かれている。1年プランは全27種類で、表の例を挙げると「盗難50」が年19,000円(車両の上限50万円・パーツ5万円・カギ穴3万円)、「盗難100」が年34,700円(車両の上限100万円・パーツ20万円・カギ穴5万円)だ(税込・2026年9月25日確認)。車両盗難時の自己負担額は、どのプランも5%となっている。
ここで押さえておきたいのが、支払われる額の決まり方だ。上のパンフレットでは、支払う保険金は「保険の対象の価格」と「車両盗難の保険金額(上限)」のうち低いほうから、免責金額の5%を差し引いた額とされている。保険の対象の価格は、購入日(または納車日)から1年未満なら車両購入価格(税抜)で、1年以上たった車両は経過年数に応じて0.95を掛けていく計算が示されている(計算の結果が5万円未満なら、一律5万円)。車両購入価格には、登録諸費用・自賠責保険料・重量税などは含まない。
ここからは筆者の読み方だ。プランの上限を大きくしても、バイクの購入価格とその後の年数で決まる「保険の対象の価格」を超えては支払われない計算になる。プランを選ぶときは、購入時の書類の金額と購入からの年数を手元に置いて、公式の見積もりで確かめておきたい。
フルサポートプラン:両方をまとめたもの
フルサポートプランのページでは、盗難保険とロードサービスを1つにしたプランとして、全81通りの組み合わせがあると案内している。このプランだけに付く「バックアップサポート」は、自走できない状態で、しかも自宅から直線距離で100kmを超えて離れた場所から同社のロードサービスを頼んだときのもの。帰宅・宿泊・レンタカーのうち1つの費用を、決められた上限額まで補償する。ページには組み合わせの例として、国産250ccスクーター(定価53万円)で「盗難60+ロード100」が年28,990円などが載っている。
盗難への備えは「任意保険に入っているか」だけでは決まらない
任意保険に入っていれば盗難も大丈夫、とは限らない。たとえばアクサ損害保険のバイクの車両保険のページは、同社のダイレクトバイク保険には車両に関する補償が含まれていないと明記している。そのうえで、SBI日本少額短期保険の車両専用保険「みんなのバイク保険」に追加で入ることで、車両の破損や盗難に備える形を案内している(同社は少額短期保険の募集代理店として販売)。この商品では、盗難の補償に警察署での盗難被害届の受理が条件として挙がっている。
保険の一括見積もりサービスのインズウェブのバイク保険のページも、バイクの盗難による損害は車両保険を付けていても対象外になるところが多い、と同社の見解として書いている。同じページでは、インズウェブのバイク保険一括見積もりで盗難保険・盗難補償の見積もりも請求できるとしている。
ここからは筆者の読み方だ。盗難について確かめる順番は、①今の任意保険に車両保険が付いているか ②付いているなら、盗難がその対象に入っているか、の2つだ。どちらも「いいえ」なら、盗難保険を単体で足すかどうかを考える場面になる。保険はあくまで盗まれた後の話なので、盗まれにくくする側の対策(警視庁が挙げる補助錠・防犯登録・駐輪場所の選び方)はバイクの盗難対策は?警視庁が挙げる補助錠・防犯登録・駐輪場所のポイントにまとめた。
自分の使い方で、足りない所を確かめる
ここからは筆者の読み方だ。3つの備えは役割が重なる部分と、重ならない部分がある。どこが足りないかは、乗り方で変わる。
- レンタルバイクや、家族・友人のバイクに乗ることがある:車両ではなく人に付くJAFの仕組みが合う。ZuttoRide Clubのロードサービスは登録した1台だけが対象だ。
- 遠出の先から、行きつけの店や自宅まで運びたい:任意保険の「自分で指定した工場までの距離」と、店までの距離を比べる。足りなければ、距離を上乗せできるサービスを検討する材料になる。
- ローンが残っている・高価なカスタムパーツを付けている:今の保険の車両保険に盗難が入っているかを確かめる。盗難保険を足すなら、支払額が購入価格と年数で決まる点を見積もりの前に押さえておく。
- そもそも今の任意保険の中身をよく覚えていない:まず保険証券を開いて、ロードサービスの距離と車両保険の有無を見る。更新が近いなら、複数社の条件を並べて比べるのも1つのやり方だ。
任意保険を他社と比べてみるなら、インズウェブの一括見積もりで複数社の見積もりを一度に取り寄せられる。インズウェブの案内では、見積もりを請求すると、アドバイスを希望しなくても見積もりについてメールか電話などで連絡が来る。見積もりの条件(補償額・特約)をそろえないと保険料だけを比べても意味がないので、今の証券を横に置いて入力したい(同社も、いまバイク保険に入っている人は保険証券があるとスムーズに使えると案内している)。
盗難とロードサービスを1つの会員サービスでまとめたいなら、ZuttoRide Clubの公式サイトでプランごとの見積もりが出せる。
まとめ
任意保険のロードサービスは、運ぶ先を保険会社が決めるか自分が決めるかで無料の距離が変わる(アクサの二輪は自分で指定すると100kmまで、三井ダイレクト損保は希望の工場まで100km、東京海上日動は費用の限度が15万円で、事前承認の工場なら無制限)。JAFは人に付き、無料けん引は20kmまで。ZuttoRide Clubは登録した1台に付き、距離のプランを選べるほか、盗難保険(上限300万円・自己負担5%・支払額は購入価格と年数で決まる)を組み合わせられる。
まずは手元の保険証券で「ロードサービスの距離と搬送先」「車両保険と盗難の扱い」の2点を確かめるところから始めてほしい。料金と条件は2026年9月25日時点のもので、変わることがある。
参考にした情報源
- ロードサービスプラン(ZuttoRide Club)
- プレミアムロードサービスとは(ZuttoRide Club)
- 盗難保険プラン(ZuttoRide Club)
- フルサポートプラン(ZuttoRide Club)
- ZuttoRide Club パンフレット(2023年3月版・PDF)
- バイクのロードサービス(JAF)
- 会員の無料けん引距離は何kmですか?(JAFよくあるご質問)
- ロードサービスの料金を調べる(JAF)
- 個人会員の入会メリット・費用について(JAF)
- バイク保険のロードサービス(東京海上日動火災保険)
- バイク保険のレッカーサービスの注意事項(アクサ損害保険)
- バイクの車両保険について(アクサ損害保険)
- バイク保険 安心のロードサービス(三井ダイレクト損保)
- バイク保険の一括見積もり・比較(インズウェブ)


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