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バイクのエンジンオイルはいつ交換する?メーカーが出している時期と、量の見方が車種で違う理由

バイクのエンジンオイルはいつ交換する?メーカーが出している時期と、量の見方が車種で違う理由

「オイル交換は3,000kmごと」── そう覚えている人もいると思います。ただ、メーカーの資料を開いてみると、その数字は車種と冷却方式で変わります。しかも、距離に届いていなくても換えたほうがいい場合が別に書かれています。

先に、この記事で分かることを3つ。

  • 新車のときは、ヤマハとスズキで揃っている。1,000km または1か月です。
  • 2回目以降は車種ごと。同じスズキの中でも、空冷か水冷かで倍近く違います。
  • 量の見方にはゲージを抜くタイプと、点検窓を覗くタイプがあり、車体の立て方まで指示が違います。

出典は、ヤマハ発動機の取扱説明書とよくあるご質問、カワサキのFAQ、スズキの二輪車向け案内です。末尾にリンクを置いてあります。運営者がオイルを交換した記録ではなく、原文を読んで組み直したものです。出典に書かれていない手順は入れていません。

目次

新車のときは1,000kmまたは1か月 ── ヤマハとスズキは揃っている

ヤマハ発動機のよくあるご質問は、交換時期についてこう答えています。まず新車のとき。ここは1,000kmまたは1ヶ月。そして2回目からは、車種によって違うので車両の取扱説明書を見てほしい、という書き方です。

スズキの定期交換部品の一覧でも、エンジン・オイルの初回は1か月または1,000km。ここは揃っています。

(交換時期の数字を出しているのは、今回 読んだ5本のうちこの2社ぶんです。カワサキのFAQは、この記事では量の点検のほうを引いています。)

覚えておきたいのは、この先が分かれる、ということです。

2回目以降は、車種と冷却方式で変わる

実際の数字を3つ並べます。どれもメーカーが公表しているものです。ただし、スズキの表には前置きが付いています。これらの時期は、安全運転を確保してもらうために、定期的な交換をスズキが独自に設定したもの。指定の時期になったら必ず交換してほしい、と書かれています。そして交換にあたっては、スズキ販売店で相談のうえ交換すること。メーカーが自分で決めて、店で相談してほしい、という形です。

  • スズキ・空冷車及び強制空冷車(原付一種)。この行に当たる車両は、初回のあと1年毎または3,000km毎です。
  • スズキ・強制空冷車(原付二種)、油冷車及び水冷車。こちらの行に当たる車両は、初回のあと1年毎または6,000km毎。
  • ヤマハ SR400(取扱説明書) ── 2回目以降は3000km走行ごと、または1年ごと。

同じスズキの表の中で、3,000kmと6,000kmが並んでいます。ここは表の読み方に注意が要ります。「強制空冷車」は両方の行に出てきます。原付二種なら6,000km側、原付一種なら3,000km側です。つまり、冷やし方だけで決まっているのでも、排気量だけで決まっているのでもない。表は冷却方式と原付の種別の組み合わせで分けています。

「バイクは3,000kmごと」という覚え方は、この表でいえば短いほうの行に寄っている、ということになります。自分の車両がどの行に当たるかは、表そのもので確かめてください。

ついでに、SR400の取説は交換量も書いています。オイル交換時が2.00 L、オイルフィルター取り外し時が2.10 L。オイルフィルターエレメントのほうは、初回が1か月点検時または1000km時で、2回目以降は9000km走行ごと。これはSR400の値です。他の車種に当てはめるものではありません。自分の車両の取扱説明書を開いてください。

距離に届いていなくても換える場合がある

交換時期の項目とは別に、SR400の取説にはこう書かれています。

定期交換の時期が来ていなくても、オイルの汚れが著しいときや、オイルが薄茶色に濁っているときは、早めに交換すること。そして汚れや濁りがどの程度なのかは、ヤマハ販売店に相談すること。

「どのくらい汚れていたらアウトなのか」を自分で決める話にしていない、という点が大事です。程度の判断については、条件を付けずに販売店へ、と書かれています。

もうひとつ、ヤマハのよくあるご質問のほうには、走行しなくてもオイルは劣化するので注意、とあります。冬の間まったく動かさなかった、という年の春は、距離計だけを見て判断しないほうがいい、ということになります。長く置いたあとの扱いはバイクメンテナンス、初心者はどのくらいの頻度でやるべき?点検項目・費用を完全ガイドにもまとめてあります。

量を見る前に ── 取説が点検の章の頭に置いていること

オイル量の点検は、エンジンをかける手順から始まります。だから、ここを飛ばすと危ない。SR400の取説が点検整備の章の頭に置いている記載(JWA12055)から、この作業に関わるものを拾います。

  • 始動は、風通しのよい屋外で。取説はそう指定しています。危険として名指しされているのはガス中毒。根拠として挙がっているのが、排気ガスに一酸化炭素などの有害な成分が含まれることです。危ない場所として挙がっているのは、風通しの悪い場所や屋内です。「この2か所だけ」と限る書き方ではありません。取説が使っている言葉は「風通し」のほうで、閉まっているかどうかではありません ── シャッターを半分 開けたガレージが「風通しのよい屋外」に当たるかは、考えるまでもないと思います(ここは書き手の補足です)。
  • 熱に触れない。この章の頭には、エンジンを止めた直後に点検するときの記載があります。熱くなっている場所として名前が挙がるのは、エンジン本体、マフラー、エキゾーストパイプ ── ただし原文はそこに「など」を付けています。この3つに限る書き方ではありません。そしてヤケドに注意、と結ばれています。オイルの項にも別の記載(JWA11861)があり、そちらは「走行後など、しばらくの間は」という書き出しで、マフラーやエンジンの熱に注意するよう求めています。
  • 場所と姿勢を先に作る。スタンドを立てた状態で行うこと。場所は、足場のしっかりした平坦なところを選ぶこと。
  • 手に余ると思ったら、そこで店。自分の知識と技量に見合う範囲で行うこと。難しいと思われる内容はヤマハ販売店へ依頼すること。取説は、点検整備を怠れば重大な事故やケガ、トラブルの原因になるとして、必ず実施するようにとも書いています。
  • 異常が認められたときは、乗車前に。同じ並びにある一文です。異常が見つかったら、乗る前に、使用する本人かヤマハ販売店で必ず整備を行うこと。なお、同じ取説の日常点検の表には、エンジンの点検内容として「エンジンオイルの量が適当であること。(※)」が挙がっています。この(※)には意味があり、表の外に注記が添えられています。※ が付いた項目は、車の走った距離や、運行時の状態などから判断した、適した時期に実施すること ── そういう指定です。判断の材料として挙がっているのは走った距離と運行時の状態で、そこに「など」が付いています。この2つに限る書き方ではありません。注記が例に出しているのは、長距離を走るとき、洗車、そして給油のあと。同じ表でも、ブレーキ液の量や灯火装置には、この印が付いていません。オイルの量は、印の付いている側の項目です。

この作業は、エンジンをかけるところから始まります。どこで始動するかを先に決めておいてください。

ゲージを抜いて見るタイプ(SR400の例)

SR400の取説に載っているオイル量の点検は、次の流れです。

  1. 平らなところで、2〜3分ほどアイドリング運転をする。走行直後でエンジンが充分に暖まっていれば、これは不要だと添えられています。
  2. エンジンを止め、メインスタンドを立てる。取説は括弧で(車を垂直にする)と添えています。そのまま数分、オイルレベルが安定するのを待つ。
  3. オイルレベルゲージを外して、ゲージの部分をきれいにふく。
  4. 注入口へ戻す。ここはねじ込まないで差し込む、と指定されています。そしてもう一度抜いて、量を見る。適切なのは、ロアレベルとフルレベルにはさまれた範囲に入っているときです。
  5. ロアレベル以下だったら、補給する。入れ口は同じ注入口です。取説はここで、推奨エンジンオイルについては別ページを参照するように、と案内を添えています。
  6. ガスケットに損傷がないかを点検し、損傷があれば交換する。
  7. ゲージを注入口に差し込み、確実に締める。

4番の「ねじ込まないで」は、取説がわざわざ括弧で指定している条件です。なぜそう書かれているかまでは説明されていませんが、指定されている以上、そのとおりに差し込んで読むところです。

補給まわりの注意も同じページにあります。注入口からゴミなどが入らないように気をつけること。こぼしたときは布などでよくふきとること。

点検窓を覗くタイプ(カワサキの説明)

点検窓が付いている車両は、手順の組み立てが変わります。カワサキのFAQはこう案内しています。

  • まずエンジンを2〜3分間アイドリング運転で暖機する。走行直後で充分に暖機されている場合、この2〜3分は不要。
  • 前後のタイヤを接地させ、車体を垂直に立てた状態で、オイルレベル点検窓を見る。(FAQは「図のように」と書いて図を添えています。窓の位置と見え方は、その図と自分の車両で確かめてください。)
  • アッパーレベルとロアレベルの間に油面があれば問題ない。
  • アッパーレベルを超えていればオイルの排出が、ロアレベル付近であれば補給が必要。

ここで揃っているのは車体を垂直にするという点です。ヤマハは括弧で「車を垂直にする」、カワサキは「車体を垂直に立てた状態で」。言い方は違いますが、求めているものは同じです。違うのは垂直の作り方のほうで、ヤマハはメインスタンドを立てる、カワサキは前後のタイヤを接地させる、としています。なぜ違うのかは、どちらの資料にも書かれていません。そしてカワサキのFAQ自身が、各モデルの点検窓の使い方はモーターサイクルに付属の取扱説明書、または同社サイトに掲載の取扱説明書に載っている、と案内しています。紙の取説が手元にない車両でも、サイト側で見られる、ということです。自分の車両の取扱説明書に書いてある姿勢で見てください。

そして同じFAQは、自分で対処するのが難しい場合はカワサキ正規取扱店に相談するように、と結んでいます。条件の付いた案内です。

入れるオイルの話は、また別

時期と量のほかに、何を入れるかという論点があります。ここは短く、出典が言っていることだけ。なお、この節で引くヤマハのよくあるご質問のページは、冒頭に一文を置いています。車両の整備と、純正部品の交換は、ヤマハ販売店へ依頼してほしいという指示です。以下は、その前提の上の話になります。

  • 自動車用のエンジンオイルは使わない。ヤマハのよくあるご質問は「使用しないでください」と言い切っています。挙げられている理由は2つ。ひとつは、製品によっては摩擦低減剤が入っていること ── それが、クラッチやスタータークラッチを滑らせる場合がある。もうひとつは、二輪用と比べて粘度もせん断安定性も違うので、エンジン本来の性能が出せないことです。そのうえでヤマハのモーターサイクル専用に作られたエンジンオイルを使うように、と続きます。「使うな」だけでなく「これを使え」まで書かれている、ということです。
  • 銘柄の違うオイルを混ぜるのは極力避ける。性能低下や不調の原因になる、という書き方です。
  • 化学添加剤を足さない。SR400の取説には「化学添加剤は一切加えないでください」とあります。理由も添えられていて、エンジンオイルはクラッチも潤滑しているため、添加剤がクラッチのすべる原因になる、と。
  • 同じ記載の中に、銘柄の名指しがあります。ヤマハの純正オイルであるヤマルーブFXを、この車には使用しないこと ── SR400の取説はそう書いています。純正だから何でもよい、という話ではない、ということです。どれが推奨なのかは、同じ取説の別ページ(推奨エンジンオイルの案内)に3種類が挙げられています。

最後の1点は、クラッチの不調として表に出ます。そちらはバイクのクラッチが滑る原因は?オイル規格・添加剤・レバーの遊びをメーカーの取扱説明書で確認にまとめてあるので、オイルの規格まわりが気になる人はそちらへ。

抜いたオイルの捨て方は、法令の話になる

ここは知らずにやってしまいがちなので、独立させておきます。SR400の取説にこう書かれています。

抜いた油 ── 取説の言い方では油脂類の廃液 ── は、適切に処理することが義務づけられている。義務の根拠としてカッコ書きで挙げられているのが、公害防止条例という法令です。そのうえで、ヤマハ販売店に相談すること、と続きます。

「自分の敷地だから」で済む話として書かれていません。交換を自分でやるつもりなら、抜いたオイルをどこへ持っていくかを始める前に決めておくのが順番だと思います。

いつ見るか

スズキの日常点検の案内は、日常点検を、安全快適に使うために法または法に準じて、日常の使用状況に応じて、使う人の判断で適時行う点検だとしています。そして時期の目安として、長距離走行前や洗車時、給油時などに実施するように、と書かれています。例示であって、この3つに限る書き方ではありません。

そしてSR400の取扱説明書も、日常点検の表に付けた ※ 印の注記で、近いことを言っています。車の走った距離や、運行時の状態などから判断して、適した時期に行うこと。判断の材料にも「など」が付いています。例として並ぶのは、長距離を走るとき、洗車、そして給油のあと ── こちらにも「など」が付いています。そして前の章で見たとおり、エンジンオイルの量には、この ※ が付いています。

どちらも「など」で、この場面に限る書き方ではありません。ただ、2社がそれぞれ給油の場面を挙げているのは、覚えるときの手がかりになると思います。距離計を見て思い出すより、給油のついでのほうが思い出しやすい ── ここは書き手の補足です。

まとめ

  • 新車のときは1,000kmまたは1か月。ヤマハとスズキで揃っている。
  • 2回目以降は車種ごと。スズキの表(スズキが独自に設定したもので、交換はスズキ販売店で相談のうえ)は2行に分かれている。短いほうの行が1年毎または3,000km毎で、当てはまるのは空冷車及び強制空冷車(原付一種)。長いほうの行が1年毎または6,000km毎で、こちらは強制空冷車(原付二種)、油冷車及び水冷車。ヤマハSR400の取扱説明書は3000km走行ごとまたは1年ごと。
  • SR400の取扱説明書は、定期交換の時期の前でも、汚れが著しいときや薄茶色に濁っているときは早めに交換、としている。汚れや濁りの程度は、ヤマハ販売店に相談。
  • ヤマハのよくあるご質問は、走行しなくてもオイルは劣化するので注意、としている。
  • 量の点検はエンジンをかける作業。始動は風通しのよい屋外で。風通しの悪い場所や屋内では、かけない。
  • 見る時期は、どちらの資料も「など」付きの例示。スズキの日常点検の案内は長距離走行前・洗車時・給油時、SR400取説の ※ 印の注記は長距離走行時・洗車・給油後を挙げている。2社で言い方が違うので、まとめても混ぜない。
  • ゲージ式と点検窓式で、車体の立て方の指示が違う。取扱説明書のとおりに(カワサキは付属の取説、または同社サイトの取説を案内)。
  • 自分で対処が難しければ、正規の販売店へ。

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