水冷エンジンのバイクに乗っていると、リザーバータンクの中の液が減っているのに気づくことがある。結論から言うと、ヤマハの取扱説明書は冷却水の点検・補充を利用者自身が行う作業として案内している一方、交換そのものは販売店に任せるよう指示している。何をどこまで自分でやってよいのか、取扱説明書の記述をもとに整理する。
冷却水の量はどこで見るか
ヤマハのMT-09取扱説明書は、冷却水量の点検について、エンジンが冷えた状態で行うこと、そのとき車は平坦なところで垂直にすることを案内している。見るのはエンジン本体ではなく、リカバリータンクという予備タンクの液面で、「フルレベル」と「ロアレベル」という2本の線の間に入っているかを確認する。冷却水がロアレベル以下のときは補充する、という案内になっている。ホンダのPCX150取扱説明書も、足場のしっかりした平坦地にメインスタンドを立てて点検するよう書いている。
「エンジンが冷えた状態」「平坦なところ」「垂直」という3つの条件は、ヤマハの取扱説明書が点検の前提として明記しているものだ。どれかを欠いたまま液面を見て、補充するかどうかを決めないようにしたい。
補充のしかたと、使ってよい液体
ヤマハの取扱説明書では、補充が必要なときはリカバリータンクのキャップを開け、フルレベルとロアレベルの中間まで入れる。フルレベル以上は入れないように、という注意もある。
ホンダの取扱説明書は、ラジエーターキャップは外さないこと、補給はリザーバータンクキャップから行うことを書いている。補給するときも、平坦地で車体を垂直にし、レベルを見ながら入れ、上限(UPPER)を超えないこと、ゴミが入らないようにすることを挙げている。
補充に使う冷却水そのものの作り方についても、取扱説明書は具体的に指定している。ヤマハ純正のロングライフクーラント(ヤマルーブ)と水道水を1対1で混ぜる、という配合だ。混ぜる水については、井戸水や塩分の含まれた天然水は使わないよう、はっきり書かれている。クーラントには毒性があるため、取り扱いには充分注意するよう明記されている。
ホンダのPCX150取扱説明書も、冷却水について同じ考え方で書かれている。リザーバータンクの上限・下限の間に液面があるかを点検し、指定のラジエーター液(ホンダ純正ウルトララジエーター液)を蒸留水または水道水で標準濃度50%に薄めて使う、という指定になっている。濃度によって不凍温度が変わる点まで数値で示されている。そのうえで、指定以外のラジエーター液や、井戸水・天然水のような不適当な水を使うとサビなどの原因になる、と注意している。
2社とも、水道水は使えるとしながら、井戸水や天然水は使わないよう書き、混ぜる相手(指定のクーラント・ラジエーター液)と濃度を具体的に決めている点は共通している。「水ならなんでもよい」わけではない。指定以外の液については、ホンダは上のとおりサビなどの原因になるとしているので、補充に使うのは取扱説明書が指定しているものにしておきたい。
ラジエーターキャップは外さない。外すならエンジンが冷えてから
先に書いたとおり、ホンダの取扱説明書は補給のときにラジエーターキャップを外さないよう書いている。そのうえで【警告】の欄で、外す前には必ずエンジンとラジエーターが冷えていることを確かめるよう求めている。熱いうちに外せば冷却水が噴き出し、重いヤケドを負うからだ。ヤマハの取扱説明書も、冷却水量の点検はエンジンが冷えた状態で行うよう案内している。
減り方が大きいときは、水漏れを疑う
ホンダの取扱説明書は、冷却水の減り具合が著しいとき、あるいはリザーバータンクが空になっている場合について、水漏れの可能性を挙げ、Honda販売店への相談を案内している。ヤマハの取扱説明書も、冷却水のにじみや漏れた跡があるときは車の故障のおそれがあるとして、販売店での点検・整備を挙げている。
どこからが「著しい」かの見分け方までは、取扱説明書は踏み込んでおらず、減り具合が著しいときは販売店へ、という案内になっている。また、ホンダの取扱説明書は水温警告灯が点いたときの対処の中で、ラジエーターホースなどに水漏れがある場合はエンジンをかけずに販売店に相談するよう書いている。
交換は自分でやってよいか
ヤマハの取扱説明書は、冷却水の補充の手順のすぐあとに、冷却水の交換はヤマハ販売店で行うよう明記している。点検・補充は利用者が行う手順として載っている一方、交換(全量の入れ替え)は販売店に任せる作業として書かれている形だ。にじみや漏れた跡があるときの点検・整備も、上で見たとおり販売店の仕事になる。この記事でも、補充までの範囲にとどめ、交換の具体的な手順には触れない。
まとめ
冷却水は、車を平坦なところで垂直にし、エンジンが冷えた状態でリザーバータンクの液面を確認し、フルレベルとロアレベルの間に収まっているかを見る。減っていれば指定のクーラント・ラジエーター液と水道水(ホンダは蒸留水も可)を指定の配合で混ぜて補充し、フルレベルを超えないようにする。補給はリザーバータンクから行い、ラジエーターキャップは外さない。井戸水や天然水は使わない。減り方が著しいときは水漏れの可能性があり、取扱説明書は販売店への相談を案内している。交換そのものは、ヤマハの取扱説明書が明記しているとおり、販売店に任せる作業になる。
参考にした情報源
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