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バイクの暖機運転は必要?取扱説明書の始動手順と、東京都のアイドリング・ストップ条例で確かめる

バイクの暖機運転は必要?取扱説明書の始動手順と、東京都のアイドリング・ストップ条例で確かめる

寒くなってくると気になるのが「バイクって走る前に暖機運転したほうがいいの?」って話だ。昔は数分アイドリングしてから出るのが当たり前だったけど、今のバイクはどうなのか。ここでは、メーカーの取扱説明書と、東京都のアイドリング・ストップの条例を読んで確かめたことをまとめる。

先に結論を書いておくと、次のとおりだ。

  • ホンダCB250R・ヤマハMT-25の取扱説明書の始動手順には、「暖機してから走る」という工程が出てこない。そのかわり、冷えている間の急加速や無用な空ぶかしを避けること、長時間のアイドリングをしないことが書いてある。
  • ホンダモーターサイクルジャパンが運営するサイトのコラムは、暖機運転は特に必要ないとしたうえで、始動してから5~10秒ほど待つこと、寒い時期は走り出してしばらくゆっくり走ることを勧めている。
  • 取扱説明書が「暖機」を書いている場面もある。オイル量の点検、アイドリングストップ付きのスクーター、チョークで始動する競技用のキャブレター車などだ。
  • 東京都の条例は、原付を含む「自動車等」を駐車し、又は停車するときにエンジンを止めることを、運転する人に義務づけている(規則で定める場合を除く)。原付より大きいバイクもこの「自動車等」に入る、と筆者は読んでいる。
目次

今のバイクの取扱説明書は、始動のあと暖機しろとは書いていない

まずは、いちばん確かな資料であるメーカーの取扱説明書から見ていこう。ここでは、ホンダとヤマハの250ccクラスのロードモデルを1冊ずつ読んだ。

ホンダCB250R:冷えていても温まっていても、始動の手順は同じ

CB250Rの取扱説明書は、エンジンの温度や冷却水の温度に関係なく、同じ手順でエンジンをかけるように書いている。手順は、エンジンストップスイッチの位置を確かめるところから始まって、ギアをニュートラルにし、スロットルグリップを閉じたままスタータースイッチを押すところまで。その中に「暖機する」という工程は入っていない。

同じページのアドバイス欄によると、エンジンやマフラー、触媒装置には、無用な空ぶかしや長時間のアイドリングが悪影響を与える。つまり「温まるまでその場でエンジンを回しておく」のは、少なくともこの取扱説明書が勧めている使い方ではない。

ヤマハMT-25:冷えている間は急加速と空ぶかしを避ける

ヤマハMT-25(取扱説明書の表記はMTN250)の取扱説明書も、始動の手順は、ギヤをニュートラルにしてスロットルを完全に閉じ、スタータースイッチを押す流れだ。ここにも暖機の工程はない。

そのすぐあとの注意の欄に、走り出しに関わることがまとめて書いてある。

  • エンジンを長持ちさせるために、エンジンが冷えているあいだは急加速や無用な空ぶかしを避ける。
  • 長時間のアイドリングは、ガソリンのムダ使いになるうえ環境にも悪いのでやめる。
  • スロットルグリップを開けて固定するなどして、アイドリングの回転数を必要以上に高くしたまま長く放っておかない。温度が上がって、エンジンや車両が傷むことがある。

さらに要点の欄によると、この車両は、車両が止まったままエンジンのかかった状態が20分間以上続くと、エンジンを止める機構を持っている(止まったあとは、スタータースイッチでまたかけられる)。

ホンダ系のコラムがすすめる「ゆっくり走り出す」

取扱説明書とは別に、ホンダモーターサイクルジャパンが運営するHondaGO BIKE LAB のコラム(外部ライターによる記事)も、この話を扱っている。コラムの要点はこうだ。

  • エンジンの暖機運転は、今のバイクでは特に必要ない。例として、空冷エンジンのGB350シリーズでも、オーナーズマニュアルに暖機運転の記述は無い、としている。
  • ただ、始動した直後にいきなり急発進するのは控えたほうが無難。オイルがエンジンの中に行きわたるのを待つつもりで、始動から5~10秒くらいは走り出さずに待つとよい。
  • 特に真冬の朝などは、走り出して5分とか10分とかは、意識してゆっくり走る。

ゆっくり走る理由として、コラムはミッション、ドライブチェーンや各部のベアリング、フロントフォークなどに使われているゴムのパーツ、タイヤを挙げている。寒さで硬くなったゴムに急に大きな負担をかけると寿命を縮めかねない、という説明だ。あわせてコラムは、新車のうちはゴムも新しいのでそれほど気にしなくてよく、何年か乗っている車両では少しだけゴムのパーツをいたわるとよい、とも書いている。

取扱説明書の「冷えている間は急加速や空ぶかしを避ける」と、コラムの「走り出してしばらくはゆっくり」は、同じ方向を向いている。止まったまま長く回すのではなく、かけたら少し待って、しばらくは優しく走る。今のバイクの走り出しは、これで考えればいい。

取扱説明書が「暖機」を書いている場面もある

とはいえ、取扱説明書から暖機という言葉が消えたわけじゃない。出てくる場面を3つ紹介しておく。

エンジンオイルの量を点検するとき

オイル量の点検では、エンジンを少し回してから測るように書いてある取扱説明書がある。

  • ホンダCB250R:冷えたエンジンなら、点検の前に3~5分ほどアイドリングで回す。
  • ヤマハMT-25:平らな場所で2~3分間アイドリング運転してから点検に入る。エンジンが走行直後で充分に暖まっているなら、このアイドリングは要らない。
  • カワサキ:よくあるご質問で、オイル交換後に点検窓で量を確かめる方法として、2~3分間アイドリング運転で暖機するよう書いている。走行直後で十分に暖機されていれば、このアイドリングは不要としている。

エンジンを止めてから何分待つか、車体をどう立てるかといった点検そのものの手順も、それぞれの取扱説明書に書いてあるので、そちらに従ってほしい。これは走り出す前の儀式ではなく、正しく量を読むための手順だ。オイルの交換時期や量の見方は、エンジンオイルの交換時期の記事にまとめてある。

アイドリングストップ付きのスクーター

ホンダPCX150(2018年)の取扱説明書は、アイドリングストップ・システムが働く条件のひとつに、エンジンが十分に暖機されていることを挙げている。困ったときの欄でも、エンジンが冷えている状態ではこのシステムは作動しないので、エンジンの暖機を行うよう書いてある。

「信号で止まってもエンジンが止まらない」というときは、エンジンがまだ冷えていないかも見てみるといい。困ったときの欄には、エンジンをかけたあとまだ走っていない場合など、ほかの理由も並んでいるので、あわせて確かめよう。

チョークで始動するキャブレター車(競技用モデルの例)

ヤマハYZ125(2025年モデル)の取扱説明書は、エンジンが冷えているときの始動方法として、スターターノブ(チョーク)を使って始動したあと、アイドリング状態かエンジン回転数を少し高くして暖機する手順を載せている。通常1、2分かかるとしていて、チョークを閉じた状態で、スロットルの操作にエンジンが正常に反応すれば暖まっている、という目安も書いてある。

ただしYZ125は、MFJのモトクロスライセンスを持つ人を対象にした競技専用車両で、取扱説明書にも一般公道では走行できないと書いてある。チョークの付いたキャブレター車に乗っているなら、自分の車種の取扱説明書で始動方法を確かめるのが確実だ。エンジンがかかりにくいときの確かめ方は、セルは回るのにエンジンがかからないときの記事も参考にしてほしい。

暖機するなら、場所と時間に気をつける

オイル点検などでエンジンをその場で回すことはある。そのときに気をつけたいことは、取扱説明書に書いてある。東京都の条例のことは、この節の最後で触れる。

エンジンをかけるのは、風通しのよい屋外で

CB250Rの取扱説明書は、エンジンをかけるのは風通しの良い場所で、と書いている。理由は、排気ガスに一酸化炭素(CO)など有害な成分が含まれるからだ。MT-25の取扱説明書も、屋内や風通しの悪い場所でエンジンをかけるとガス中毒の危険があるとして、始動は風通しのよい屋外で、と書いている。YZ125の取扱説明書にも、風通しの悪い場所や閉めきった狭い場所で始動や暖機運転をしないよう警告がある。

冬場にシャッターを閉めたガレージの中で暖機、というのは、この警告に真正面からぶつかる。

住宅街での長いアイドリング

MT-25の取扱説明書には、環境や住民の方との調和についての欄もある。深夜の住宅街や人通りの多い道路などでは特に、長時間のアイドリングや急発進は迷惑になるので、しないよう書いている。朝早く出かけるときほど、家の前で長く回さないほうがいい。

東京都では、駐車・停車中のアイドリング・ストップが義務

東京都には、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)がある。

環境確保条例第五十二条によると、自動車等を駐車し、又は停車するときは、その自動車等を運転する者が原動機を停止しなければならない。条文はこれを「アイドリング・ストップ」と呼んでいる。規則で定める場合には、この義務はかからない(ただし書き)。

環境確保条例第三十三条の二によると、「自動車等」とは、自動車又は原動機付自転車(法第二条第三項に規定するもの)をいう。ここでいう「法」は、同じ章の第二十八条が道路運送車両法と定めている。また環境確保条例第二条第六号によると、「自動車」とは、道路運送車両法の第二条第二項が定める自動車のことだ。

環境確保条例第五十六条によると、知事は、第五十二条から第五十四条までの規定について、違反している者がいると認めれば、その者に対して必要な措置をとるよう勧告できる。

東京都環境局のアイドリングのよくあるご質問は、全ての自動車等がこの義務の対象になるとしたうえで、義務の対象から除かれる場面として次の5つを挙げている。

  • 信号待ち、交通渋滞
  • 人の乗降
  • 冷凍車・医療用車・清掃車などで、動力にエンジンを使う場合
  • 緊急自動車を用務に使っている場合
  • やむを得ないと認められる場合

「やむを得ない場合」については、急病人への対応や火災・震災などの緊急時、体の状態を保つための温度設定が必要な病弱者・障害者等で、その車以外に休める場所の確保が難しい場合、熱中症で命に関わるおそれがあって運転者が車から離れられない場合(必要な時間に限るとともに、場所も近隣住民などに十分配慮して選ぶ必要がある)を例に挙げている。これは例示で、類する事例はほかにもありうる、とも書いている。同じページによると、都では、条例に基づいて置かれた自動車公害監察員(通称 自動車Gメン)が、路上でアイドリング・ストップの指導をしている。

ここからは筆者の読み方です。同じ章の第二十八条が、わざわざ二輪の小型自動車・軽自動車を除くと断っていることから、道路運送車両法の「自動車」には二輪も含まれると読める。そうした断りのない第五十二条では、原付も、それより大きいバイクも「自動車等」に入ると読める。そして、家の前や駐車場でバイクを止めたまま暖機を続けるのは、駐車・停車しているのに原動機を止めていない状態に当たる、と筆者は読む。上のよくあるご質問の例示にも、暖機は出てこない。

なお、ここで読んだのは東京都の条例だけで、ほかの道府県や市町村に同じような決まりがあるかどうかは、この記事では調べていない。住んでいる地域の決まりは、その自治体の条例で確かめてほしい。

まとめ:かけたら少し待って、しばらくは優しく走る

  • ホンダCB250R・ヤマハMT-25の取扱説明書の始動手順に、暖機の工程は出てこない。冷えている間の急加速・無用な空ぶかしを避けること、長時間のアイドリングをしないことが書いてある。
  • ホンダモーターサイクルジャパンが運営するサイトのコラムは、始動から5~10秒ほど待ち、寒い時期は走り出してしばらくゆっくり走ることを勧めている。
  • オイル量の点検(ホンダは冷えている場合3~5分、ヤマハ・カワサキは2~3分のアイドリング)、アイドリングストップ付きスクーター、チョークで始動するキャブレター車など、取扱説明書が暖機を書いている場面もある。自分の車種の取扱説明書を確かめよう。
  • エンジンをかけるのは風通しのよい屋外で。住宅街で長く回さない。
  • 東京都の環境確保条例第五十二条は、自動車等を駐車し、又は停車するときのアイドリング・ストップを運転者に義務づけている(規則で定める場合を除く)。

新車から乗り始めたばかりなら、ならし運転の記事もあわせて読んでおくと安心だ。

参考にした情報源

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この記事を書いた人

ゴリライダーハーレー FXBR 乗り/モトブロガー

走って、いじって、伝える。

自己満にカスタムしたハーレー FXBR(ブレイクアウト)に乗っています。ツーリングで見つけた景色や、整備・カスタムで試したことを、YouTube とこのブログで発信中。いまはライダー仲間とつながれるアプリ「RIDERS BASE」も準備中です。読んでくれた人のバイクライフが、もっと楽しくなる情報を届けます。

山の稜線に並んで座るライダー仲間の後ろ姿 また、どこかの道で。 RIDE TO LIVE.
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