しばらく乗らずに置いていたら、エンジンがかからなくなった。直すお金をかけてまで乗るつもりはない。そういうバイクが修理しないまま売れるのか、というのがこの記事の話だ。
結論から書くと、エンジンがかからないバイク(不動車)でも、値段がつくことはある。ただし動くバイクより下がる。どのくらい下がるかは、車種の相場と、直すのにかかる費用で決まる。そして売ったあとに困らないために、引き渡す前に確かめておくことがいくつかある。
この記事では、不動車の値段の決まり方を買取各社の公式の説明で確かめ、写真で査定するKATIXと、出張で査定するバイクパッションの条件を並べる。最後に、動かせないまま引き渡すときの確認を順番にまとめた。内容は2026年9月25日に各社・各市のページで確かめたもので、変わることがある。申し込む前には公式ページで最新の内容を見てほしい。
先に結論:直す前に、動かないままの値段を聞く
- 値段はつくことがある。KATIXのよくある質問は、バッテリーが上がって動かないバイクにも値段はつくと答えている(動くバイクよりは下がる、とも書いている)。
- 値段の決まり方は「車の価値から直す費用を引いた額」。バイクパッションは、不動車の査定額をそう説明している。直す費用が中古の価値を上回るほどの故障なら、部品取りとしての値段になるとしている。
- 査定のしかたと、引き上げの費用の書き方が2社で違う。KATIXは写真で査定し、引き上げの費用は業者の負担と書いている。バイクパッションは出張で査定し、査定は売らなくても無料と書いているが、不動車の引き上げの費用については公式ページで記載を見つけられなかったので、申し込むときに聞いておきたい。
- 売ったあとは、名義変更か廃車が済んだかを確かめる。バイクを渡しただけでは、軽自動車税の通知は止まらない。
エンジンがかからない原因をまず自分で確かめたい人は、セルが回らない・カチカチ鳴るときと、セルは回るのに始動しないときの記事に、確かめる順番をまとめてある。この記事は「直さずに手放す」と決めた人向けだ。
申し込む前に:どう動かないのかを言葉にしておく
「動かない」と一口に言っても、状態はいろいろある。バイクパッションの査定の申し込み欄には、エンジンの状態を選ぶ項目があり、選択肢として次のようなものが並んでいる。
- バッテリー上がりで動かない
- 放置している間に動かなくなった
- 故障などで自走できない/電気系統の損傷で自走できない
- エンジン焼付
- エンジンを分解している・部品が欠けている
ここからは筆者の読み方です。買い取る側は、この違いで直す費用の見当をつけているのだと思う。申し込む前に、「最後に動いたのはいつか」「セルは回るか」「どのくらい置いていたか」「鍵と書類はあるか」をメモしておくと、電話でも写真でも伝えやすい。分からないことは「分からない」と書けばよく、推測で「バッテリーだけだと思う」と書かないほうが後で揉めにくい。
不動車の値段はどう決まるか
「車の価値」から「直す費用」を引く
出張買取のバイクパッションは、事故車・不動車のページで、故障などで動かなくなったバイクについて、そのバイクが本来持っている価値から、直すのにかかる費用を引いて査定額を出すと説明している。10年・20年・30年と放置して傷みが進んだバイクでも、本来の価値とレストアの費用を見て値段を出すとしている。
同社の不動車の買取事例のページでは、事例381件の内訳を載せている。10万円未満が237件でいちばん多く、10万円以上が97件、30万円以上が19件、50万円以上が22件、100万円以上が6件だ。
ここからは筆者の読み方です。これは1社の事例の集計で、どんな車種がその店に持ち込まれたかにも左右される。「不動車でも100万円」という上のほうの数字だけを見て期待するより、半分以上が10万円未満だったという方を目安に置いておくほうが、がっかりしにくい。
同じ「動かない」でも、車種で値段が大きく違う
バイクパッションのQ&Aは、事故車・不動車・故障車について、車種と状態で査定額は変わるが、同社では6割以上の確率で買い取っていると答えている。同じ答えの中で、原形をとどめない事故車に数十万円がつく場合もあれば、見た目に傷がなくてもエンジンが焼き付いていて値段がつかない場合もあると書いている。理由として挙げているのは、車種ごとに買取の相場が決まっていることだ。フレームだけでも高く流通する車種がある一方で、動く車体でも安くしか流通しない車種もあるとしている。
KATIXのよくある質問も、バッテリーが上がった不動車について、動くバイクより値段は下がるが、過去にも値段がついて売れた実績は多いと答えている。
直してから売るべきか
ここからは筆者の読み方です。上の説明どおりなら、直す費用は最初から査定額で差し引かれている。だから自分で修理に出しても、かけた費用がそのまま査定額に上乗せされるとは限らない。先に動かないままの査定額を聞き、そのうえで修理の見積もりと比べるのが順番だと思う。原因がバッテリーだけだと分かっているなら、バッテリーを自分で替える記事にメーカーが書いている条件をまとめてあるが、長く置いたバイクは燃料やキャブレターなどほかの原因も重なっていることがあるので、替えれば動くと決めつけないでほしい。
KATIXとバイクパッションの違い
どちらも不動車を扱うと公式に書いているが、査定のしかたが違う。KATIXは自分で撮った写真を複数の買取業者が見て入札し、いちばん高い業者を案内する形。バイクパッションは査定士が出張して実物を見る形だ。
| 項目 | KATIX(カチエックス) | バイクパッション |
|---|---|---|
| 査定のしかた | 自分で写真を撮って送る。その写真を複数の業者が見て値段をつける | 申し込み後、査定士が出張して実物を見る |
| 不動車の扱い | バッテリー上がりの不動車にも値段はつく(動くバイクより下がる) | 車の価値から直す費用を引いて査定。事故車・不動車は6割以上の確率で買取 |
| 利用料・引き上げ代 | 利用料は無料。引き上げの費用は業者の負担 | 査定は無料で、売らなかった場合も無料。買い取ったあとに車両を引き上げる。不動車の引き上げの費用は記載を見つけられず(申し込み時に確認) |
| 引き上げの方法 | 基本は業者が引き上げに来る。遠い業者はレッカーのこともある。まれに近くの拠点まで持ち込みが要る | 事故現場・警察署・レッカー業者などの保管先にも査定に行くとしている |
| 名義変更・廃車 | 名義変更などの手続きは業者が代行する | 廃車手続き・名義変更を無料で代行。廃車証のコピーは10日〜2週間ほどで届くとしている |
| 自賠責 | 買取額に含めて計算するので、特に手続きは要らない | 自賠責が切れていても買取額は下がらない。残っている自賠責は持ち主に返すので、解約すれば残りの期間の保険料が戻る |
ここからは筆者の読み方です。家から出せない・写真を撮る場所がとれないなら、実物を見に来てもらうバイクパッションの形が合う。写真を撮れて、何社かの値段を一度に比べたいならKATIXが合う。両方に申し込んで、動かないままの値段を比べるのもいいと思う。
KATIXに写真で出すときの注意:動かないことは最初に書く
KATIXのよくある質問によると、引き上げのときに業者がするのは再査定ではなく、写真と実物に違いがないかの確認だ。申告に無かったことが現地で見つかると、提示した金額では買い取れないので取引はキャンセルになる(キャンセル料は取らないとしている)。現地でキャンセルになる主な原因として、オイルやクーラントの漏れ、写真で見えない割れ・傷・錆び、タンク内の錆びなどと並んで、エンジンの異音・不調を挙げている。
ここからは筆者の読み方です。エンジンがかからないことを書かずに出すと、現地で取引が流れる原因になる。動かないこと、タンクの中の錆び、漏れの跡は、写真と申告の両方で最初から見せておくほうがいい。また、まれに近くの拠点まで持ち込みが要る場合があると書かれているので、自分では動かせないことを申し込みの段階で伝え、引き上げに来てもらえるかを確かめておきたい。
所有者本人が引き取りに立ち会えない場合について、KATIXは代理での出品はできるとしつつ、引き取りのときは原則として所有者の立ち会いを求めている。難しい場合は、立ち会える人の名義に変えるか、廃車の手続きをして譲渡証を用意するよう案内している(業者によって違うので問い合わせてほしい、とも書いている)。
動かせないまま引き渡す前に確かめること
不動車は、引き渡しの日に自分で動かして調整することができない。引き上げの日に慌てないよう、次の順に確かめておくといい。
- 書類:KATIXは売るときの書類として、車検証(軽自動車届出済証・標識交付証明書)、自賠責の証書、所有者の身分証明書を挙げている。廃車してあるバイクなら廃車証明書が必要だとしている。書類が見つからないときは書類をなくしたバイクを売る記事に、再発行の窓口をまとめてある。
- 車検・自賠責が切れていないか:KATIXは、車検証や自賠責が切れていても出品でき、値段もさほど変わらないと答えている。長く置いていたバイクは切れていることが多いので、先に日付を見ておく。
- 引き上げの場所:ここからは筆者の読み方です。どこに置いてあるか(屋内・屋外、段差、狭い通路)、前後のタイヤが回るか、ハンドルロックがかかったままか、を伝えておくと、引き上げの段取りを決めてもらいやすい。
- 鍵があるか:ここからは筆者の読み方です。鍵がないとハンドルロックが外せず、押して動かすこともできないことがある。バイクパッションの不動車の事例には鍵のないバイクも載っているので、鍵がないこと自体で諦める必要はないが、申し込みのときに先に伝えておきたい。
- ローンが残っていないか:車検証の所有者欄が販売店やローン会社になっているときの売り方は、ローンが残っているバイクの記事で扱っている。
- 断る場合・減額されたとき:査定のあとに断れるか、引き取りのあとに減額されたらどうするかは、出張買取のキャンセルと減額の記事にまとめた。
- 名義変更か廃車が済んだか:これは次の節で書く。
引き渡したあとに:名義変更か廃車が済んだかを確かめる
印西市のよくある質問によると、軽自動車税は毎年4月1日の時点で登録上の持ち主になっている人にかかる。バイクを引き渡しただけでは税はなくならず、廃車か名義変更の手続きが済んで初めて止まる。手続きを販売店などに頼んだときは、手続きが終わったことを確かめるよう書いている。柏市の案内も、軽自動車税には月割りの仕組みがないので、4月2日以降に廃車した場合はその年度の分を全額納めることになると説明している。
ここからは筆者の読み方です。買取店に手続きを任せる場合でも、「いつごろ終わるか」「終わったらどう知らせてもらえるか」を引き渡しのときに聞いておくと安心だ。バイクパッションは廃車証のコピーが10日〜2週間ほどで届くとしているので、それを過ぎても届かなければ問い合わせる目安になる。3月に手放すなら、手続きが4月1日をまたがないかも聞いておきたい。
任意保険の中断や自賠責の戻り方は、手放すときの任意保険の記事で扱っている。
まとめ
エンジンがかからないバイクでも、値段がつくことはある。KATIXはバッテリー上がりの不動車にも値段はつくと答え、バイクパッションは車の価値から直す費用を引いて査定すると説明している。ただし動くバイクより下がり、同社の不動車の事例381件では237件が10万円未満だった。
直すお金をかける前に、まず動かないままの値段を聞く。KATIXに写真で出すなら、動かないことや錆び・漏れを最初から書いて写す。引き渡す前に書類・鍵・置き場所を確かめ、引き渡したあとは名義変更か廃車が済んだかを確かめる。条件は2026年9月25日時点のもので、変わることがある。


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